
管理画面を開いても、数字が多すぎて次に何をすればいいか分からない。そう感じるなら、まず見る数字を絞りましょう。数字は眺めるものではなく、次の一手を決めるための材料です。
今回の結論:売上を「訪問・購入率・客単価」に分けて見て、利益余力と合わせて毎週同じ形で記録し、次に試すことを一つ決める。
売上を3つに分けて考える
ECの売上は、おおむね「訪問の数 × 購入率 × 客単価」で考えられます。売上が下がったとき、この3つのどれが動いたのかを見れば、手を打つ場所が分かります。
図解の内容を文章で確認する
売上を、訪問の数×購入率×客単価に分けて見ます。訪問が減ったら集客、購入率が下がったら商品ページ・送料・在庫・購入手順、客単価が下がったら同時購入・送料無料条件・値引きを確認します。最後に原価・送料・広告費を引いた利益余力を確かめます。
訪問が減ったなら集客、購入率が下がったなら商品ページや送料、在庫の状況、客単価が下がったなら一緒に買われる商品や送料無料の条件を見直します。「売上が下がった」とだけ考えていると、何をすればいいかが決まりません。
数字の定義と期間をそろえる
ECの管理画面、アクセス解析、広告の管理画面では、同じような言葉でも数え方が違うことがあります。訪問の数え方、購入率の分母などです。比べるときは、同じツールの、同じ定義の数字を、同じ長さの期間でそろえます。
先週はEC管理画面、今週はアクセス解析の数字、というように混ぜると、変化が本物かどうか分かりません。週報で使う数字は、どのツールのどの項目かを最初に決めて、毎週同じ場所から取ります。
計算式を決めてから比較する
週報の簡易購入率を「注文数÷セッション数×100」、客単価を「対象売上÷注文数」と決めた場合、訪問800・注文8・売上40,000円なら1.0%と5,000円です。翌週が訪問820・注文6・売上33,000円なら約0.73%と5,500円です。訪問は増えていますが、注文が2件減り、売上は17.5%下がっています。これは架空例で、原因を特定する計算ではありません。
Shopifyの標準レポートのオンラインストアコンバージョン率は、購入を完了したセッションを使います。一つのセッションに複数注文があれば、注文数を使う簡易計算とは一致しません。標準指標と独自指標を同じ名前で混ぜないでください。Shopify公式:ストア分析の指標
売上に送料・税・値引き・返品を含めるかも固定します。テスト注文を除き、取消・返金を別欄に残します。期間をそろえても、在庫切れや広告費、休日数が違えば、その差も週報へ書きます。
2026年9月にはShopifyのセッション測定方法が更新されています。更新前後の訪問数や購入率の変化を、そのまま施策の成果とみなさず、注文・売上も合わせて確認します。同じ絞り込み条件でも測定方法の差は残るため、更新後の期間を新たな比較基準にします。Shopify公式:セッションとコンバージョン率の変更
少ない件数の数字をどう読むか
小さな会社では、注文が1週間に数件ということも珍しくありません。件数が少ないと、購入率は1件の注文で大きく動きます。1日や1週間の上下に反応して、そのたびにページを変えると、かえって何が効いたのか分からなくなります。
ODBの自社ECでも、件数が少ないことは前提として受け止めています。そのうえで、ぶれがあることを認めつつ、今ある数字で一番確からしい読みを出し、次の試しで確かめる、という進め方をしています。条件が完全にそろわないから判断しない、では前に進めません。期間を区切り、合計で見て、変えるのは一度に1か所。この3つを守るだけで、少ない件数でも学びは残ります。
広告の数字だけで判断しない
広告の管理画面には、広告費に対する売上の割合など、成果を示す数字が表示されます。この数字が良くても、原価や送料、手数料を引くと手元にお金が残らないことがあります。広告の管理画面の数字は、あくまで広告の中での評価です。
広告をしている場合は、管理画面の成果と、実際の注文、第2回で計算した利益余力を定期的に照らし合わせます。広告の管理画面が数える注文と、ECの管理画面の注文の数が一致しないこともあるので、売上と採算はECの実注文を基準に確認します。ただし、全注文を広告による成果とみなさず、広告側の帰属期間・計測方法と、自然検索やリピートによる注文を区別して読みます。
毎週5つの数字を1枚に
毎週見る数字は、最初は5つで十分です。訪問の数、注文の数、売上、客単価、そして商品ごとの利益余力です。これを1枚の表に記録し、その下に「今週の変化」「考えられる理由」「次に試すこと」を1行ずつ書きます。
理由は断定しなくて構いません。「写真を追加した週に注文が増えた。関係は未確認」と書けば十分です。大事なのは、次に確かめることを一つ決めることです。この1枚が、第1回で作った週報の中心になり、経営者との15分の会議で判断する材料になります。
5つの数字から購入率を計算し、広告を使った週は広告費とCPAも添えます。購入が0件ならCPAは「算出不可」とし、0円とは書きません。原価や送料が変わった商品は利益余力の計算日も更新します。AIの集計結果は元データと計算式で検算してください。
そのまま使えるAI入力例
次の架空の2週間分のデータを、訪問の数・購入率・客単価に分けて比較してください。どの数字が売上の変化に一番影響したかを示し、考えられる理由と、次に確かめることを1つずつ挙げてください。因果関係は断定しないでください。素材:前週 訪問800 注文8件 売上40,000円、今週 訪問820 注文6件 売上33,000円。
自社でやってみる課題
先週の訪問の数、注文の数、売上、客単価、商品ごとの利益余力を1枚にまとめ、次に試すことを一つ書いてください。数字を取ったツールと項目も書いておきます。
理解度・実践チェックリスト
- □ 売上を訪問・購入率・客単価に分けて見ている
- □ 数字を取るツールと項目を決めた
- □ 比べる期間の長さをそろえた
- □ 少ない件数の上下に振り回されていない
- □ 広告の成果を実際の注文と利益で確かめた
- □ 次に試すことを一つ決めた