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第02回|売れても赤字にしない利益・原価・送料設計

小さな会社のためのEC・AI実務講座 第2回「売れても赤字にしない利益・原価・送料設計」

アクセスを増やす前に、1件注文されたときに手元にいくら残るのかを把握しましょう。小さな会社ほど、売上の見栄えより、現金が残る仕組みが大切です。

今回の結論:販売価格から原価・梱包・送料負担・決済手数料を引いた「1注文あたりの利益余力」を、商品ごとに見える形にしておく。

売上と利益を混同しない

5,000円の商品が売れても、5,000円がそのまま残るわけではありません。商品の原価、箱や緩衝材、送料のうち店が負担する分、決済サービスの手数料、そして広告をしていれば広告費がかかります。売上が増えているのに口座のお金が増えない、という状態は、この差を見ていないときに起こります。

最初に、社内で計算のルールをそろえます。税込で計算するのか税抜で計算するのか、送料は実費か平均か、などです。人によって計算方法が違うと、同じ商品の利益が担当者ごとに違って見えてしまいます。

1注文あたりの利益余力を計算する

架空の例で計算してみます。税抜5,000円の商品で、原価1,800円、梱包資材150円、送料のうち店の負担700円、決済手数料が売上の約4%で200円だとします。5,000円から合計2,850円を引くと、残りは2,150円です。これが「広告をかける前の利益余力」です。

ここから家賃や人件費などの固定費をまかない、最後に利益が残ります。つまり2,150円は利益そのものではなく、固定費と広告費に回せる原資です。決済手数料は利用するサービスや支払い方法によって率が違うため、自社が契約している条件で計算してください。

計算は商品ごとに行います。同じ店の中でも、原価率が低く送料が軽い商品と、原価が高くかさばる商品では、残る金額が大きく違います。売れ筋だと思っていた商品が、実はほとんど利益を生んでいなかった、ということもあります。

5,000円の商品が売れたときに残る金額(架空例)販売価格 5,000円の内訳(架空例)残り 2,150円原価 1,800円梱包資材 150円送料の店負担 700円決済手数料 200円広告前の利益余力 2,150円この2,150円から、固定費と広告費をまかなう
売上の5,000円のうち、自由に使えるのは半分以下(架空例)
図解の内容を文章で確認する

架空例:販売価格5,000円から、原価1,800円、梱包資材150円、店の送料負担700円、決済手数料200円を引くと、広告前の利益余力は2,150円です。ここから固定費と広告費をまかないます。

手数料・値引き・返品を計算に加える

この4%は説明用の仮定で、Shopifyの特定プランの料金ではありません。実際の決済手数料が税込の決済総額や送料にもかかる場合は、契約上の計算対象で求めた手数料額を採算表へ入れます。会計上の税の扱いは経理担当者とそろえてください。

同じ例で商品を500円値引きし、手数料も商品金額の4%という仮定なら、利益余力は4,500−1,800−150−700−180=1,670円です。値引き前より480円減ります。返品の往復送料、廃棄、再梱包が発生する商品は、実績をもとに見込額も別欄へ加えます。

利益余力と口座残高は別に確認する

月額利用料などの固定費に加え、製造・仕入れの支払日と決済サービスの入金日を確認します。採算が合っていても、商品代を先払いし、入金まで時間がかかると資金は不足します。採算表と、今後の入出金予定を並べて経営者が判断してください。

小ロット生産の会社が気をつけること

私自身も自社ECを運営し、商品開発では製造原価と送料を合わせて考えています。小ロットでは、大量生産と比べて1個あたりの原価が高くなりやすく、量産品の感覚で価格を決めると利益余力がほとんど残りません。

小さな会社がオリジナル商品を売るなら、「安さ」で競うのは不利です。大手と同じ土俵で価格を下げるのではなく、原価に見合う価値を商品ページで伝え、その価格で買ってくれるお客様に向けて売る方が、少ない数でも事業が続きます。価格は、原価から逆算して「最低でもこれ以上」を決めたうえで、伝え方で支えるものです。

送料と送料無料の条件は経営判断

「送料無料の方が売れそう」という理由だけで決めると、利益が崩れます。送料無料にするなら、その分を価格に含めるのか、利益を削るのかを決める必要があります。先ほどの例は、すでに店の送料負担700円を引いた計算です。ここから同じ送料をもう一度引いてはいけません。現在お客様から送料を受け取っている注文を送料無料へ変える場合は、その受取額が減る分を試算します。

「〇円以上で送料無料」という条件は、まとめ買いを促す効果が期待できる一方で、複数の商品を同梱すると箱のサイズが上がり、送料が跳ね上がることがあります。条件を決めるときは、よく一緒に買われる組み合わせで、実際の送料を確認してください。配送地域によって送料が違う場合は、一番高い地域でも赤字にならないかも見ておきます。

広告を始める前に許容CPAを出す

広告にいくらまで使えるかは、販売価格ではなく利益余力で考えます。1注文を獲得するためにかけてよい広告費の上限を、許容CPAと呼びます。利益余力が2,150円で、運営のために1,000円は残したいなら、広告に使える目安は1,150円です。

リピート購入を見込んで基準を緩める考え方もありますが、リピートの実績がないうちは、初回の注文だけで考える方が安全です。広告の進め方は第9回で詳しく扱います。

計算表は担当者と経営者で共有する

利益の計算表は、担当者だけが持つものではありません。価格、送料、値引き、広告予算を決めるのは経営者なので、同じ表を見ながら話せる状態にします。原価や送料の改定があったら表を更新し、更新した日を書いておきます。

担当者が値引きキャンペーンを提案するときも、この表を使えば「値引き後にいくら残るか」をその場で示せます。数字の根拠があると、経営者も判断しやすくなります。

そのまま使えるAI入力例

次の架空の商品データから、1注文あたりの利益余力を計算する表を作ってください。列は商品名/販売価格(税抜)/原価/梱包費/送料負担/決済手数料(売上の4%)/利益余力。計算式も示し、利益余力が販売価格の30%を下回る商品に印をつけてください。素材:トートバッグ 5,000円 原価1,800円 梱包150円 送料700円、ポーチ 2,500円 原価900円 梱包80円 送料400円。

自社でやってみる課題

売れ筋候補の3商品について、販売価格・原価・梱包費・送料負担・決済手数料を1行に並べ、1注文あたりの利益余力を計算してください。そのうえで、送料無料の条件と許容CPAを試算します。

理解度・実践チェックリスト

  • □ 税込・税抜など計算のルールを社内でそろえた
  • □ 商品ごとに利益余力を計算した
  • □ 決済手数料を自社の契約条件で確認した
  • □ 同梱時や地域ごとの送料を確認した
  • □ 送料無料の条件を利益から検討した
  • □ 許容CPAを計算した

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